台・日「亜太未来」交流論壇歓迎スピーチ 【李登輝前総統】 05.11.11.

李登輝氏 論説
【李登輝前総統】インフラ整備以上に重要なのは誠実と公を重んじるサムライ精神

  台・日「亜太未来」交流論壇歓迎スピーチ

                二○○五年十一月十一日、台北県淡水にて

久保田先生、そして日本の各分野をリードする皆様、ようこそ台湾へおいでくださいました。

今回の討論会では、皆様とともに、台湾と日本をめぐる重要な問題を考えることができるものと、とても楽しみにしております。

 さて言うまでもなく、現在アジアは大きく変貌し、激動の節目を迎えつつあります。そこで新しい思考が求められている今日、この「アジア太平洋の未来」をテーマにする台日交流フォーラムが開かれることは、とても大きな意義があるものと思います。

 我々台湾人はこの百年間、日本的な価値観、そして中国的な価値観というものをさまざま経験しました。私自身もまた、この二つの文化、文明を肌身を持って体験してきました。

 かつて台湾を統治してきた日本がもたらしたものには、、道路や鉄道、電話、電気、上下水道、灌漑用水路などインフラの整備が挙げられますが、それ以上に重要なのは、誠実と公を重んじるサムライ精神、法治の精神、科学的精神、自然を愛する心といった人文的な精神があります。そうした貴重なものを受け入れたということを、我々は忘れることが出来ません。

 とくに台湾人は戦後、国民党による支配を受けることによって、日本の良い精神を改めて認識しました。国民党支配下の台湾の状況とはどういうものであったかと申しますと、憲法を始めとする法律の制定から解釈・運用まで、支配者の一存で決められるという人治主義の下で、権力や実績が金銭で売り買いされ、汚職が蔓延し、自分さえ良ければそれで良いという、無責任で夜郎自大的な中華思想が社会を汚染しました。法が信用を失い、農民を搾取するような農業政策や、無計画な開発により、人と自然環境との調和も失われました。

 最近のニュースによれば、黄砂が日本にも降り注いでいるそうですが、それも中国の自然破壊の結果です。中国の内陸部の貧困、人権問題、公害問題は、まさにこのような中国的価値観がもたらしたものなのです。台湾では民主化に伴って、ようやく自然との共生という価値観が見直されているところです。

 台湾で政権交代が行われた後、中国は社会、マスメディア、文化、経済そして政治を含むあらゆる分野で、台湾に対する工作の機会を窺っています。台湾がその影響を受けて混乱してしまうのは、やはり内部に中国的な価値観を抱えているからなのです。

 明日から二日間にわたって開催される「アジア太平洋の未来」台日交流フォーラムが、台湾が中国的な思考から完全に脱却し、そして日本が普遍的で永続し得る価値観を世界に対して訴え、実践していくきっかけとなるよう期待してやみません。

 ありがとうございます。



『台湾の声』  http://www.emaga.com/info/3407.html


『日本之声』  http://groups.yahoo.com/group/nihonnokoe  (Big5漢文)
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台湾李登輝前総統、来年5月に東京訪問 日刊スポーツより | Home | 【お知らせ】台湾関連講演会 日本李登輝友の会メールマガジン「日台共栄」より転載

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